企業に入社すると、嫌がおうにも出世競争に参加させられることになります。
20代のうちは横並びでも30代に入ればだんだんと差がつきはじめ、40代になるとかなりその差が目に見えてくるのが一般的です。
また、今は無能でもある程度上がれた昔と違い、多くの企業では昇進が難しくなっており、昇進できないことに悩む人も多くなっているようです。
今回はこのあたりのことについての気付きを記していきたいと思います。
企業の出世、昇進基準とは
これについては各社によって大きく異なるところです。
例えば、世界を相手にする産業であれば、一定以上の語学力はもちろん、どれだけ業績に貢献したかも問われます。
一方で、公務員やインフラ産業などにおいては、このような実力よりも、いかに出世しやすい部門に長く在籍して、いかに敵を作らないことのほうが重視されます。
このため、出世を考える場合は、まず自分の企業がどのような出世、昇進基準を設けているのか(もちろん不文律ですが)意識していく必要があります。
なお、私の企業は、経営戦略系、人事労務系、財務経理系の社員の出世が速く、こういうのに敏感な社員は、入社数年もしないうちに社内公募でそういう部門にチャレンジします。
今年経営戦略に落ちたので、来年は人事労務に挑戦。また落ちたので、財務経理に挑戦といった感じで、何回か受ければいつかその部門に到達できますし、若いころからしたたかに行動をしています。
ただ、こういう内向きの仕事しかしたことのない社員が上がっていくので、当然外部環境に対応することはできず、私の会社の業績は毎年落ち続けており、株価も悲惨なものです。
軒並み株高時代なのに、なぜこれほど株価がさえないのか…。投資家は良く見ているのかもしれません(;^_^A
出世遅れ(遅延)があるからと言って、あなたに価値がないわけではない
出世遅れを知らされたときは、大なり小なりショックを受ける人が多いかと思います。
私もものすごく遅れているというわけではありませんが、所属部門の歴史が浅く弱いため、花形部門にいる後輩よりは遅れてきています。
そしてこの差はもっともっと大きくなるでしょう。
その事実に直面した時、やはり複雑な心情が巻き起こり、うつっぽくなったりしたこともありました。
しかし、もともと所属する部門が弱いのだから仕方ないことですし、ためしに転職活動をしたらすぐ好条件で内定も得ることからも、この会社の評価軸の方がおかしいということに気付きました。また、後輩がこの部門にきていたら、そのスピードで出世することはなかったでしょう。
転職エージェントから言われたのは、「企業は自社の維持に都合のよい人を上にあげる。昔ながらの伝統的な企業ならなおさら実力などはあまり考慮に入れない。あなたの会社の出世コースの人は、転職市場では価値が低い人たちですが、そういうコースが偉くなるのは日本企業では珍しくはない。また、昔ながらの企業では、新規部門は力が弱い。現状に不満ならやはり転職がおすすめ」
もちろんセールストークもあるのでしょうが、一理あるなぁと思いました。
出世遅れ(遅延)の時の考え方
そもそも出世というのは、上司との相性もありますし、所属部門の人員構成もありますし、かなり運的要素も加わります。
ベストセラー「幸せになる勇気」でも、これを他者の課題とし、自分ではどうすることもできないのだから、知ったことではないという意識を持つべきだとしています。
また、田中角栄も不遇の時代があった時、自分ではどうしようもないことを悩み続けるのは、阿呆がすることだ。そんな時間があれば、一冊でも多くの本を読んだ方がいい、と語っていました。
自分なりにある程度の最善を尽くしたら、あとは天にすべてを任せるという考え方がいいのだと思います。
また、自分が進んでいる道は、天が自分を成長させるために導いた、一番意味のある道という信念を持つのが良いのだと考えます。
出世遅れ(遅延)で怒りを感じる時
とはいえ、やはり理不尽すぎる人事で怒りを感じることもあるでしょう。
これについては、私は「人は人。自分は自分」と思うようにしており、また、「順風満帆に見える彼も、目に見えないところで多くの苦労があるのかもしれない」という客観的な視点を持つようにしています。
実際、私の大学の先輩で順風満帆に出世コースを歩んでいた先輩は、お子さんに障害があり、奥さんの妹さんが自ら命を絶ったなど、かなりプライベートに苦労されていることを知りました。
人生、すべて順風満帆に言っている人ななんてほとんどいません。
自分が怒りを感じる相手より、自分が恵まれている点は少なからずあるはずです。
その恵まれている部分にフォーカスし、感謝の心を持つようにしましょう。
会社なんて、退職届1枚で縁が切れる程度の存在なんです。
自分の家族のように血がつながっているわけでもないです。
そんな紙切れ一枚で縁が切れる相手に関わることで、大切なプライベートもイライラさせられては溜まりません。
健全な精神状況を保ちましょう。
出世遅れ(遅延)のメリット
出世遅れにもメリットは色々とあります。
私の場合、一例をあげると、行きたくないゴルフや飲み会、休日のボランティア活動参加などは、はっきりと断れるようになりました。送別会などの行きたい飲み会には参加するようにはしていますが、突然夕方「今日、一杯いこうか?」は基本的に断るようになりました。
また、昨年、単身赴任となる人事異動の提案を受けましたが、家族を第一に考える私でしたので、速攻断りました。
他には、子供の誕生日に野球観戦に行く約束をしていましたが、前日上司より、残業を頼まれましたことがあります。
以前の私ならば仕事優先でしたが、はっきりと「先約があるので対応できません」と伝えました。
出世競争から降りるという選択をしてから、家族関係が良好になり、特に子供と仲良くなりました。
休日、会社のための自己啓発などもやっていましたが、今はその量は格段に減り、子どもがやるiPadのゲームもするようになりましたし、休日は一緒にゲームセンターやバッティングセンターにいくようになりました。
日本企業は、従業員間の給料差が他国に比べて小さいです。このため、順調に出世をしていく人たちとの将来の年収の差は、200~300万円程度でしょうし、許容範囲です。
会社にいつまでも目の前にニンジンをぶらさげられ、会社都合で突然ニンジンを外されるレースに参加させられるよりも、少し早い段階でそのレースから降りる決断をしたことは、思いのほか精神衛生が良いことを感じました。
ある程度出世コースに乗っている人は、やはりそれを失いたくない心理が働きますので、最後まで会社優先で馬車馬のように働きます。強制的に、レースに参加させられ続けます。
私の部署は、がむしゃらに頑張ったとしても、あと1つ程度しか役職が上がらないでしょうし、やはり早めに降りるほうが合理的と思うようになりました。そして、次のステージの準備の時間を多めにとって、色々とやりたいことをやっていきます。
会社からの、やりがい、貢献、自己成長という、都合の良いまやかしのワードにだまされないようにしましょう。
所詮、紙切れ一枚で関係が途切れるだけの関係なんですから。
長くなりましたので、今日はこのあたりで。